山越えか

   

画像 ローズマリーと再び芽吹いたキバナコスモス

 

職場内のスタッフ同士の人間関係に悩んでいたのはわたしだけではなかった。

何が変わったわけでもなく、ただそれを知っただけなのに

あれほど重く苦しかった職場の空気が違って見えるようになった。

 

何十年も介護をしている人に比べられて気後れする必要なんて何処にもないから。

どうしようもない事を押さえ込むように指摘するってどうよ。

わたしらこれから言いたいことはどんどん言いましょうよ。

急に味方が1人2人と現れた。

 

早番、日勤、遅番と次々と出勤してくる同僚を迎え申し送りしながら、

初めて1人で入浴介助した時を思い出していた。

 

94歳。

衣服を脱いだしわしわの細い線、無防備の身体の手をとって暖かなシャワーを用心深くかけた。

「頭を洗いましょうか」というと

「お願いします」という返事。

シャンプーを泡立てながら、逝ってしまった父を思い故郷の母を思った。

「自分の母親を洗っているみたいで嬉しくなります」

冷静さの欠片もない介護師としては失格とまたまた指摘されそうだけど、

申し訳程度に塗っていたファンデーションはとっくの昔に剥げ落ちて、

頬ぺたは汗と涙でぐちゃぐちゃだったっけ。

 

わたしが介護の世界に入った原点はこれなんだ。

自分の親を思うような気持ちで寄り添いたい。

 

ほんとに小さな小石ごときにつまづいてしまったけれど、

わたしは、この山を越えられるかもしれない。

逃げ出す事ばかり考えていた昨日までが遠ざかっていく気がした。

 

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