12月の有馬路を歩く

   

休日に予定を入れるのがここ最近怖くて出来なかった。

休みの日はひたすら家にこもり出来るだけ体を休めるべし。

そうしなければ次の休みまで体が持たなくなってしまうから。

 

横になって体を伸ばし腰を労わる。

首の痛みにはシップを貼り付ける。

家事は出来るだけ簡単に済ませる。

もともと出不精のわたしが益々引きこもりがちになってしまった。

大好きなホームセンターのガーデニングコーナーへも足が遠のいた。

 

でも、今日は違う。

久しぶりに電車とバスを乗りつぎ夫と二人で遠出した。

 

流石に12月だ。

空気がつんとしている気がした。

 

窓から外を眺めた。

窓枠に切り取られた街の風景が、電車の速度に合わせて早くなったり遅くなったり・・・

時々止まったりしながらどんどん目に飛び込んでくる。

 

写真ではない本物の風景

春のさくら、5月の新緑、雪のちらもそうだけど

それぞれの四季折々が流れる車窓から観ると特別なもののように思えてくる。

 

今日の車窓といえば、

黄金色のイチョウがくっきりと鮮やかに浮かび、風が吹くたびにひらひらとと舞っていた。

ゴミ袋と手ほうきを片手に葉を集めている人を遠めに見つけ、

あの年配のおじいさんらしき人の仕事は、一体いつ終わるのだろうかと無駄な想像に駆り立てられた。

 

 

12月の有馬路賑やかな商業ルートを離れ、しっとりとした温泉街の端っこをてくてく歩いた。

 

晩秋の山の木々のざわめきをお供に気持ちよく森林浴、

 

小川のせせらぎに耳を傾け、滴る小さな滝つぼに想像の花を咲かせ歩いた。

 

特別に何があるわけでもないけれど、こういう時間というのはほんとに必要なんだと思った。

仕事の日はあくせくと必死になって動き、

休みの日は臆病な程引きこもって悶々としていては、

要らぬ妄想が怪獣並みに膨らんでいくのはわたしの悪い癖だ。

 

 

 

「時には空を見上げよう」

これって大正解なんだ。

「上を向いて歩こう」と坂本九が歌っているのはただの歌詞ではないのだ。

 

気温は一桁で、頬撫でる風は冷たかったが、

温泉饅頭のあったかさが心にほっこりと広がった一日だった。

 

 

 

 

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