会計8000円

   

夜勤明けの夫は昼頃帰ってくると疲れた体を休める。

夜勤というのは、自分で思っている以上に50代の身体には堪えている。

明けの日はぼうーっとし、ほぼ思考回路は停止状態。

翌日休んでやっとゆっくり快復するが、万全になるためにはもう一日休みが欲しい。

介護施設で夜勤を経験して、24時間体制で働く大変さを知った。

 

ごろんと横になり無防備な寝顔だ。

視線の端でその顔を見ながらわたしはせっせと片付けに励む。

 

荷物を持って階段を何回も昇ったり降りたり、

捨てるのが苦手だといいながらも、ゴミ袋は何袋でただろうか。

結構頑張っている。

片付けの合間に食事の用意や洗濯を挟み込んで・・・という具合に一日が過ぎていく。

掃除は・・・出来ない。

部屋中ひっくり返っているのだから。

まるで、引越し前夜のような騒ぎだ。

 

夕方、

「夕食はラーメン食べに行こうか」

夫から誘われた。

「ラーメン食べたいの?」

と無粋な事を聞いてしまった。

夫なりに大変そうだと気を利かせてくれたらしい。

それとも、夕食がしばらく出てこないと判断したのか。

 

そそくさと埃だらけのエプロンを脱ぎ着替え、駅前まで歩いた。

路地裏までも知っているはずなのに改めてみると、

意外なところに飲食店が増えて、所々よそ行きの顔をしているように思えた。

 

なので、ラーメン屋に行くつもりが予定変更。

鶏料理が美味しいと評判の居酒屋へ入り、

お客さんがまだいない店内のカウンターの隅に座った。

 

夫は生ビールとわたしはグレープフルーツの生絞り酎杯。

早速焼き鳥各種を注文した。

つくね、皮、レバー、ねぎま、砂ずりこの食感苦手。

アスパラベーコンこれ家でもすぐ出来るなと夫、

料理は、どの皿も食べてすぐ「おいしい」という言葉が出た。

素材にこだわり丁寧に作っているのが伝わってきて満足だった。

 

夫は2杯目のビール。ととりささみのユッケ。

わたしは、グラスワインの赤とカマンベールチーズにクラッカー付き

夫は、日本酒の飲み比べ(熊本、新潟、奈良)甘辛い味噌が付いてきた。

味噌なめつつちびりちびりと日本酒を飲む。

日本酒の最初の一口、香りよく美味しいと思った。

 

カウンターに座っていたので従業員の様子がよく見えた。

男性ばかりだった。

今日がはじめての仕事だろうか。

学生風の男子が、生ビールの入れ方やソフトドリンクの作りかたと教えてもらっていた。

かしこまって「はい」「はい」と一生懸命だった。

料理を運んでくる動きがぎこちないのが初々しかった。

 

こういう仕事も覚える事沢山あるね。

若いからすぐに覚えるよ。

頑張れ。

勝手な上から目線のエールを送っている自分は、

関西のおばちゃん以外の何者でもないなあと思った。

 

気持ちよく飲んで程よく食べて、他愛無い話をちょっとして。

お会計は8,000円弱。

一瞬、電卓が頭に浮かんだ。

 

わたし達夫婦は、別財布だ。

外食は基本全額夫が出してくれるが、

「あっ、うちの1週間の食費と同じ金額」と思ってしまった。

 

入った時はまばらだった店内もお客が増え、週末の夜はまだまだ長いと賑やかだった。

外へ出た。

つんと藍色に透き通った西の空は、まだ冬のままだった。

 

 

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