最後の給料が振り込まれた。

   

2、3日降り続いた雨もようやくあがり、気持ちよく晴れている。
桜の開花が宣言された。
近所の桜もちらほら咲きだした。
 
散歩でも行こうかと炊き込みご飯のおにぎり4個を持って出かけた。
何処へというわけでもなく近所をぐるぐる。
 
ただ歩くだけ。
テクテクと・・・。
 
街中には周囲をコンクリートで固められた川が結構あちこち流れている。
その川には、茶一色の鯉が沢山群れて泳いでいた。
体全部がお口ですかと言いたくなるほど口をパクパクさせてこちら側に来る。
リュックの中のおにぎりはあげられない。
ごめんなさいと言う。
それにしても丸々と太って健康そうな鯉だ。
 
少し行った所で、おじいさんがいた。
隣にはヘルパーさんらしき人が付き添っている。
ポリ袋に満杯のパンくずを持っていた。
どうやら、鯉にやりたいらしい。
 
お節介にも、
「あっち側に沢山いましたよ」
と言った。
 
「向こうには、いつもパンをやる人がいるんです」
「賢い鯉はみんな向こう側に行くの。鳩までも」
「ここには、あぶれた鯉がいるから、私たちはここで」
 
そかそうか。
世の中、上手くできているものだと感心しながら、
素敵なヘルパーさんだなあと通り過ぎた。
 

光に誘われて人もわんこも猫も歩いていた。

普通の街並みの時間がなんとはなしに過ぎて行く。
この街で年を取るのだね。
老いていく自分達の姿を、見知らぬ通りすがりの夫婦に重ねてみたりする。
 
青空に白一色の雪柳が、ひときわよく映えているのが見えた。
あれがどうにもこうにも、新体操のひらりとしたリボンに見えて仕方ない。
しなる枝の先の先まで白くて、リボンの考案者はきっとこれを見たに違いないと思う。
 
 
ベンチがあれば丁度いいわと、
目の前の人の背丈の少し高いぐらいの桜の木の下で座る。
 
時々、自転車に乗ったご婦人が、「何処から来たの?」
と怪訝な顔で見ていく。
 
 
 
今のわたしの時間は呆れるほど多い。
無駄に手持ち無沙汰で、社会から隔離されている気もしないではないが・・・
なんせ出不精の半引きこもり型の人間だ。
仕事でなければ人前に出たいとは決して思わない。
かといってほっとかれると、
ウサギのように淋しくて仕方ないというメンドクサイ一面も承知している。
 
 
23日は最後の給料の振込み日だった。
ずっと頭にあり、仕事していた頃よりもしっかり覚えていた。
89,090円が振り込まれていた。
ひと月丸々働いた時の半分以下の振込みだったが、大きなお金だなあと思った。
もうこういうお金は得られない。
 
有り余るほどの自由な時間と引き換えに、今は働かない選択をしている。
この通帳の残がゼロになった時に、
自分がどういう選択をするのか、それはまたその時に考えればよいことだ。
 
 
それほどまでに、今の暮らしは、見えない何かが一杯詰まっている気がする。
 
 
 
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