ゆるゆると老人を目指し

   

約一年半ぶりだろうか。
画面に懐かしい名前のメールがあった。
 
 いい知らせか悪い知らせか。
ファイル添付表示にさらにどきどきし、
届いたメッセージを開くのに、1年半分の勇気がいる臆病者の自分を呆れた。
今あるだけのデーターで答えをだそうと頑張る脳細胞をよしよしとなだめた。
 
短めの深呼吸をして文字を追う。
たんたんと書かれた内容の後ろ側で、何かがかくれんぼしているかもしれない。
早くそれを見つけなければ。
 
 
でも、前から読んでも後ろから読んでもひっくり返してみても、
そこに書かれている文章以外の何物もみつからなかった。
そのことに自分でもびっくりし、泣きたくなるぐらいほっとした。
 
最初からもう一度、こんどは丁寧に読んだ。
右向けといわれれば右を向き、左と言われれば左。
前進めといわれたらまっすぐ前へ。

言われるがまま素直に読んだ。

 
「わたし達中年女の日常は、北も南も西も東も同じスピードで
ヨロヨロではなくゆるゆると老人を目指し・・・」
こんな感じの文章で〆られたメールをあなたらしいと思い、
やっぱり泣きたいようなにっこりしたいような、不思議な感覚で読みおわった。
 
そして、北の空に向って
「おーい」と手を振り、
東北で足踏みしている桜前線の背中を一気に押し出してやりたい。
そんな気分になった。
 
 
 
昨日のことでも一昨日のことでも、時を隔てていても
姉のように慕っていた想いは、薄くなったり濃くなったりを繰り返しながら、
いつまでも残っているものだと思った。
こんなにも暖かく。
 
 
 
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