コンビニでコーヒーを

      2017/03/18

 

ほぼ一週間ぶりに訓練を受けた前居住の町へ行った。

用事を済ませそのまますぐに帰る気にもなれず、

コンビニでコーヒーを買い、海の見える窓際の席に座った。

 

さっきまでちらちら舞うだけだった雪が激しく吹雪いてきた。

どうりで寒いわけだ。

「少しはあったまりましょう」

とバッグから文庫本を取り出し休息体制を整えた。

 

雪が積もることの滅多に無い地域だ。

だから、余計に寒く感じるのだろう。

地上にに落ちた雪はそのままふんわりと溶けて水になり、アスファルトの路面を濡らしていった。

文庫本のページを捲りつつ、雪が止むまでしばらくとどまる事にした。

 

年配の夫婦が紙コップのコーヒーとチョコケーキらしき袋のお菓子を買い求めて、

わたしの2つ向こうの席に座った。

70代後半か。あるいは80ぐらいか。

杖をついてはいたが、二人で出かけられるのだから達者なんだろう。

仲良くチョコケーキを分け合っていた。

どちらかというとおじいさんの方が色々と細かく動いていて、

コーヒーを運んだり、袋を開けたり。

それを横目で見て、夫婦で年齢を重ねるっていいなあと思った。

 

わたしの田舎の母は86歳、事故で車椅子生活になり歩けない。

父親は昨年亡くなった。

夫婦で重ねてきた時があってもいつかは、どっちかが先に逝く。

 

父は、余命を宣告されてからあっという間に亡くなったが、

母親には、

「先に逝って待っている」

とよく言っていた。

 

「人は生まれる時も一人で、死ぬ時も一人」

よく聞くフレーズだが、縁あって共に過ごす時間を得た者同士なら、

できれば、あの世で再会できたらいいなあと思う。

 

コーヒーを飲んでケーキを食べ終えたのだろう。

年配の夫婦二人が席を立った。

 

雪はいつの間にかやんでいたが、アスファルトはぐっしょりとぬれたままだった。

何の気まぐれなのか日差しが出てきた。

この風景だけをみれば、さっきまで吹雪くほどに雪が降っていたのが信じがたく

冷たい空気以外は、真夏の通り雨後のような空模様だった。

 

気がつけば、約一時間もそこに座っていたのに、

手にしていた文庫本は一向に進んでなかった。

 

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