「私鉄沿線」

      2017/03/18

 

かなりの長い時間電車に乗る機会があった。

 

車窓の景色はマンションや高層ビルではなくて、畑や田んぼ穏やかに流れる川。

遠めの山々はまだ冬景色で灰色に霞んでいた。

 

ぽっと灯りが点いたような梅の花が目に飛び込んできた。

申し合わせたように等間隔で次々と・・・。

ここで淡い花色が見えると次は濃い桃色、電車の速度に合わせて流れる車窓の風景が、

1600メートル走のバトンリレーのごとく鮮やかに梅の花の余韻を繋いでいった。

 

桜の季節まで後もう少し。

日本中が桜の舞に酔いしれる。

 

それに比べたら何と静かに咲く花だろう。

まるで本番前の前座ではないかと勝手な解釈を持っていたりもしたが、

この時期に梅の花を咲かせた神様の意図がわかった気がした。

 

褐色の山並みや刈り取られたまま残されている数センチの稲の株元も、

そこの風景をざっくりと切り取ってみたら、天然の額縁役に徹しているだろう。

 

いつのまにか車内はがらがらになっていた。

客のひとりひとつ隣に座るお嬢さんは熱心にスマホを操作中。

向かい側の隅に座っている年配のご婦人は静かに目を閉じていた。

 

目的地までの電車の中。

短編小説を一気に読んだ後のような軽いけだるさを残して改札をでた。

出口を間違えてぐるっと一回りした事は忘れたふりをした。

 

***

ちょっときざかもと思いながら、この記事のタイトルを「私鉄沿線」とした。

ゴローさんごめんなさい。

アイキャッチ画像は一昨年の梅です。

 

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