さるすべり
2016年11月28日

一体、
何への怒りなのか
グーのこぶしを空に向ける
秋の百日紅
街路樹の百日紅が丸裸になっていた。
冬への準備だろうが、一枚の葉さえ残っていない樹木が怒っているように見えた。
青すぎる空が何の慰めになろうかと、スマホ越しに小さな世界を哀れんだ。
すくっと伸びた1本足の街灯に気が付いた。
夕方になれば街灯の光は丸裸の彼女を穏やかに包み込む。
私の勝手な想像の世界などおかまい無しに、
近寄る事も離れる事もなく、
これまでも、またこれからもずっと一緒に時を重ねていくのだろう。
来年の春にまた綺麗な花を咲かせて。
暖かな風が吹くまでゆっくりおやすみ。
そのこぶしはきっと柔らかく広げられる日が必ずくるから。
ぐーのこぶしをちょっぴり羨ましいと思いながら
通り過ぎた。


