あじさい

朝方は晴れていた空が、次第に暗くなってきた。
雨が落ちないうちに買い物に出かけた。
職場で履く上靴を買いに。
事前に2割引になっているのは確認済みであったし、洗い替え用にもう1足欲しかった。
目当ての商品を手に入れて少々気持ちもハイになり自転車を漕いでの帰り道。
その家の庭にあじさいが咲いているのをいつも見ながら通っていた。
どんよりした空気の中であじさいのあでやかさが際立っていた。
あじさいの手入れにしていた年配の方。
これも知っていた。
いつもだったら会釈だけで通り過ぎるのについ
「こんにちは」
と、なんとも気安く声をかけてしまった。
次いで「綺麗ですね。増やされたのですか」とも。
「はい。すぐに根付きますよ。」
「よかったらお好きなだけ切って構いませんよ」
これまた気安く、初めて話をしあう人同士とも思えない言葉が返って来た。
今が一番綺麗に咲いているので切るのはもったいないので、
花が終わる頃に一枝くださいとお願いした。
桃色の小花達が仲良くぎっしりと丸くなっているあじさい。
スマホにぱちりと収めうっとりと眺めている。
お花はいい。
やっぱり花が大好きだ。



