光と影

さくらの花が咲き始めた頃、
ホームセンターで苗を3本買い、西日しか当たらない軒下の小さな花壇に植えた。
どっさり収穫というわけにはいかないが、育てる楽しみも食べる楽しみも沢山与えてもらっている。
大切な野菜だ。
たとえばなす。
全部が全部ぴかぴかの紫色になるわけではない。
日陰のなすは、色のりの悪く、こんなのが出来てしまう。
なすというよりはきゅうりかといいたくなる色合いだ。
なすの紫色はお日様の力なのだ。
ピーマンの緑もトマトの赤も日が当たってこその色が生まれる。
色の素は間違いなくお日様だ。
世間はお盆休みに入っている人も多いのだろう。
高速道路は渋滞何十キロと毎度お決まりの混雑振りで
海外脱出組が何万人だと詳細なデーターを用いてのニュースは賑やかだ。
それに比例するように職場は忙しくなった。
置いてけぼり感満載のお年よりは、ここがどこか知らず、ごね、帰らせてを連発。
自分の家が一番。
それは万民共通であればあるほど、お年寄りの身体を預かる者としては切なくなる。
丁寧に説明を受け納得してきたのだろうが・・・
1分前に話したことを忘れる。
同じ事を何度も言う。
リピーター機能のきっちり付いたオーディオ機器のように。
仕事ゆえにと割り切って、根気よく対応も出来るが家族なら・・・
複雑な思いがよぎる。
一筋縄ではいかない高齢社会の現実が、べったりと横たわっている。
長寿国日本は、今こんな国なんだ。



