風のガーデン
2017年8月20日

通勤路に小さな田んぼがある。
春には一面れんげの花が咲いていた。
夏の初めに耕され水が張られ稲が植えられた。
ついこの間のことのようであったが、稲の葉先の高さにびっくりした。
さわさわと風に揺られ規則正しく同じ動き方をする。
ドミノ倒しにも似て、揃って同じ角度でお辞儀。
毎日その田んぼの脇を自転車で走っていた。
と、ある日突然と空気が変わった。
自転車を止めて見入った。
みどりの稲の香りで鼻の奥がツンとした。
何ともいえない青い香りだった。
この辺は以前は田んぼが広がっていたのだろう。
小刻みに切り取られ道路になり家が建っていきながらも、残ったこのスペース。
街中の、小さな田んぼは里山とも違う呼吸をしているような気がした。
まだ暑い。
まだまだ・・・そう思っているが、
もう夏は終わる。
高く伸びた稲がそう言っていた。


