人生はある日突然と変化する。

夜勤明け。
家に帰ると玄関からお風呂場へ一直線。
シャワーに入り制服を洗濯機に入れ、野菜ジュースと菓子パンをほおばり一眠り。
夜勤明けの日の、判で押したようにお決まりのコース。
それを今日も忠実に遂行した。
その後、むくっと起き怪しい雲行きの中、自転車を走らせて予約していた歯医者へ行ってきた。
歯医者は嫌だけれど地道に通っている。
治療後のジンジンする痛みに凹み気味で、パソコンを開いたのが午後6時。
今回の夜勤は、一睡も出来ずに吐き気までした前回に比べるとありがたいぐらい楽な夜勤だった。
トイレや廊下等夜勤帯の掃除担当場所も丁寧に済ませ、
暖かいコーヒーを入れる余裕もあって、
椅子に座って軽くうとうと出来ただけであの時とは全く違う身体の重さ。
これなら翌日に響く度合いも最小限に抑えられるというもの。
夜中に頻繁に目を覚ますお年寄りがいて当たり前。
コールで何度呼ばれても平気。
不安がるお年寄りには、
「コールをじゃんじゃん押してください」
「すぐ飛んできます」と言える余裕がある嬉しさよ。
深々と更けていく夜を一晩見守り続けた小さな達成感。
事故やトラブルがなく日勤帯に申し送りできた後の開放感。
50代半ばのペーペー介護士のわたし、あれもこれも貴重な体験ばかりだなあと
今更ながらに思う。
介護を仕事とする。
それで糧を得て暮らし生きていく。
大変な事もやりがいも業界独特の空気もぽつりぽつりと娘に話していた。
その娘が、介護の世界に興味を持って資格を取りにスクールに通うという。
人生はある日突然と変化する。
親子で介護業界へとは、わたしにとっては想定外だ。
自分の先さえも見えないのに、さらにこの子の先には・・・
ほんの少しの好奇心で覗いてみたいだけとも思えるが、
もしかしたら、曲がり角の向こう側には、次の舞台は出来上がっているのかもしれない。
怖いような嬉しいようなはらはらさ。
タブーだとわかっていても、早送りして見てみたい心境だ。


