空の色、風の色

 

昨日とは、打って変わって今朝はどんよりとしている。

灰色雲がどんどん空を覆っていく。

天気予報は晴れということであったが、これも南国特有のきまぐれさだ。

 

実家は、今は母親と弟夫婦が3人で暮らしている。

昨年、わたしはここで約4ヶ月間、両親と一緒に暮らした。

母親の事故に父親の病気等、離れて暮らしていたわたしは一日でも早く帰るようにと

「天の声」が聞こえていたのかもしれない。

 

その時に庭にパパイアの苗を何本か植えた。

他にも、ピーマン、オクラ、とまと、なす、バナナの苗を植えたが、

まともに育ったのはおくらとパパイアだけだった。

バナナの苗も消えていた。

 

パパイアが花を咲かせ小さな実をつけるのまでは確認した。

父親の死があり、母親の暮らしの状況も変わっていくのは必至で後を弟夫婦に託した。

 

このパパイア、

いつもここで、わたしの代わりにでもなったつもりで、

この家の日常をじっと見ていたのだろうなあ。

もはや、自分の分身化したパパイアを、

少々感傷的になりながらスマホに収めそう思った。

 

生まれ育った島を出て30年、帰省する度に必ず父がいて母がいた。

様子は変わっていても、何かしら絶対に変わらないものが島にはあった。

 

でも、少しずつ違っていく。

父がいなくなった。

いずれは、母も・・・それが何十年も遠い先の事でないのはわかっている。

そのとき、この島の風景はどうなっているのだろうか。

庭に残る1本のパパイアの木を見つめながら、とりとめのない不安が胸の中に広がっていった。

 

わたしが何かある毎に思い出していた、ふるさとの海の色と空の色は、

丸くなった背中で車椅子に座っている、この年老いた母親であり、

仏壇におかれている、四角い写真の父親そのものであったのではと思えてくる。

 

普通に日常を過ごしながら、有るべきもののない喪失感はまだ生々しく、

心に残っていた。

 

2月15日

島の風は、少しぬるく湿っていた。

 

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