多分、ただの水分なのに・・・
土曜日、ホームセンターへ走った。
目的は、キバナコスモスのためにひとまわり大きなプランターを買うこと。
で、こんなのを買った。
かなり大きい。
自転車の後ろに斜めに立てかけてごろごろ言わせながら持ち帰った。
早速、植え替え作業に入った。
キバナコスモスは、1メートル近くに育っているので、プランターから引き抜くのがためらわれた。
しかし、このままでよくないのはわかりきったことだ。
慎重に真横に倒した。
ごらんのように根っこがはみ出していた。
そうか、そうか。
やっぱり狭かったんだね。
プランターを前後にゆすりながら根元を静かにひっぱった。
何度か繰り返しプランターと土の隙間が出来てきたのを見計らって引き抜いた。
底に敷き詰めていた台所用の網にびっちりと根が張り付いていた。
根鉢は崩したくなかったが、網を取り外したい。
今よりも広いプランターに引っ越すので、もっと根っこを伸ばしてやりたい。
根っこを切ることになってしまうがしかたない。
安の状、かなりの根を切り崩した。
長細くなった土の両端を持ちあげて、新しいプランターにすっぽりと入れたつもりが、
ぐにゃと曲がってしまい、変な形に治まってしまった。
しまったと思ったが、
もう一度、引き上げる勇気はなく、そのまま強引に形を整えながら土を入れた。
もたもたはしていられなかった。
早く、
早く・・・・
気温は高く西向きの我が家にお日様が迫ってきていた。
ようやく、植え替え完了。
生長点付近が、少し萎れてきていた。
あぶない、あぶない。
活力剤入りの水をたっぷりとかけ、
柵を取り付け日陰で養生。
1,5倍ぐらいになった新しい住まいに快適でしょうとつぶやいた。
植え替えの済んだ株を見て、根をいじっているし、少しきり戻そうかと思った。
所が、生長点の奥のほうで固い蕾らしきものを発見した。
ねえ、つぼみが出来ている。
やったー
小さなガッツポーズ。
よし!
もうすぐ黄色い花を咲くよ。
3時間後、様子を見に外に出た。
ぐるりと回った太陽の光が少し差し込んでいる。
木漏れ日をちらちらと切れ長のハッパに受けてどの株もぴんぴんと元気だった。
家人は、それぞれ留守で、家には他に誰もいない。
キバナコスモスを見ながら、 ぼろぼろと涙が出てきた。
どうしてなのか、そのわけを知っていた。
口にしてはいけないと言い聞かせながらも
誰も居ないのをいいわけにして、なみだは遠慮なく出てきた。
涙というもの、ただの水分なのに、
どんどん流れて流れて、
感情をゆさぶりつつも、何かを守り、そして消えていくものだと思った。