某ドラックストアに面接の申し込みをする。

「一月は行き、二月は逃げ、三月は去る。」
年が明けてお正月だと騒いでいるうちに一月はあっという間に終わり、
二月もこれまたあっさりと逃げた。
卒業や進学、就職などと何かと慌しく過ぎていく三月のはずが、
コロナ騒動でそれも蚊帳の外にはじかれている。
昨年、仕事を辞め転職する娘の背中を押すつもりで一緒に登録販売者試験を受けた。
めでたく親子で合格を果たしたが、娘は
なんだかんだと理由をつけて求職活動を避けている感じがしていた。
そんな中、2月後半になってやっと仕事が決まった。
仕事が決まると娘の表情は明るくなり、よくしゃべるようなった。
やはり、無職の身の負債感を相当に感じていたのだろう。
娘が選んだのはやはり登録販売者としての一歩だった。
がんばれと送り出し役割は終えたと思った。
ある日、娘が言った。
お母さんもやるんなら今じゃん。
えっと思ったが、わたしのやってみたい気持ち見は透かされていたのだ。
結果、
その一言に気持ちが決まり、ブログでスーパーのパート辞めます宣言をしたのが2月の26日だった。
しかし、辞める決心はしたものの、気持ちは二転三転。
直属の上司にも同僚にも話せないまま月日が過ぎていった。
一体、わたしは何がしたいのか。
何をそんなに悩んでいるのか。
そんなの、今更誰にきかなくったってわかっていた。
こわいのだ。
新しい事に挑戦するのに怯えていた。
なにより、この年齢で2年の実務経験が吉と出るとは限らない。
まったく、何の役にも立たずに2年間を終わるかもしれない。
そもそも、いくらドラッグストア業界が人手不足とはいえ、
もうすぐ59歳のわたしを登録販売者の実務経験を積む為に雇ってくれるのだろうか。
不安だらけだった。
だけど、娘と一緒に同じ目標に向かって頑張れる事が今後わたしにまた巡ってくるとはおもえなかった。
それならこんなチャンスはない。
支えてあげたいし、支えてもらいたい。
お互いの運と能力がパワーアップできそうではないか。
さらには、わたしの一生分の幸せをぐいっと引き寄せさらに倍増してくれそうな気さえしてくるのだ。
やるしかなかった。
娘の初出勤の日、
わたしは、娘と同じ系列の某大手のドラックストアに面接の申し込みをした。
申し込み送信ボタンを押した途端、なぜか目頭が熱くなり涙が零れてきた。
たかが、パートを転職するだけなのになぜか大げさに涙ばかりが出てきた。
申し込みをしてから一週間後の昨日、面接を受けた。


