嬉し・・・恥ずかし花の六十代

去った四月、六十歳になった。

世間で言う還暦だ。

 

生まれた島では、六十歳になると中学校の同窓会が開かれる。

還暦という節目で開かれる同窓会は普通の同窓会とは違う。

 

まず実行委員会が組織され、会長、副会長、会計という役員が選出されるらしい。

およそ半年前頃から、実行委員会は準備に入る。

予算を組み、会場の確保、余興の出し物、料理、あらゆる内容が濃く話し合われる。

聞けば一日ではなくて、二日目、三日目と続くというから驚きだ。

こうなるともうお祭りだ。

 

還暦を迎えた同窓生は、県内外から呼び集められる。

何年か前にその実行委員会の会長を務めた一番上の姉から聞いた話だから間違いない。

還暦同窓会のひと月前もなると、連日の役員会で夕飯を家族で取ることがなかったらしい。

 

今は、コロナ騒動で緊急事態宣言がでている。

今年還暦を迎える昭和36年生組のわたしの元へ「還暦同窓会」の一報は当然ない。

 

島を離れて早36年。

一度も同窓会なるものに参加したことがない。

何度か連絡だけはあったが、遠方を理由に断ってきた。

そのうちに連絡すら来なくなった。

たまに帰省しても、昔の友人と連絡をとることもしなかった。

子供が小さいうちは、外出がままならなかったこともあったが、

四十代後半、五十代の頃は、多分に自分の環境を語り合うのが嫌だったからだろう。

臆せず話せる日々でなかったのは事実だ。

 

今更会ってどうするのよ。

プライドの塊が、さらに鎧を着て構えているのだから、

久しぶりに会う知人にはいい迷惑だ。

と勝手に思っていたのだが・・・。

 

子供がいて家族がいれば、友達は特に要らない。

そう言いながら・・・・

キーボードを叩く度に、中学校、高校時代の懐かしい顔が浮かんでくるのはなぜ?

節子に京子に直美、美和子に里美。

それぞれが美人で可愛いくて、一番不細工なわたしはみんなが羨ましかったな。

だけど、何がおかしかったのかみんな一緒に笑っていた。

 

そうそう、あの頃も通学も遊びも自転車だった。

セーラー服の襟を風にひらひらとさせ、26枚のプリーツスカートの裾を気にしながら

サトウキビ畑をぬけてさっそうと自転車をこいでいた。

汗だらだら流して真っ黒に日焼けしてもまるで気にせずに。

 

せめて日焼け止めでもぬりぬりしていれば、

今のお顔一杯のこのシミもあのシミも出来てないかもしれないなあ。

 

嬉し

恥ずかし・・・六十代

みんな、おばあちゃんに片足を突っ込んで。

面と向かったらどんな話が飛び出すのだろうか

ほんの少し興味が湧いてきた。

 

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