夫の定年
令和2年の今年、夫は大きな節目を2つ迎える。
まず一つ目。
2月の誕生日が来れば還暦だ。
令和天皇陛下の誕生日と数日しか違わないというのが亡き義母の口癖だった。
わが子が著名な人や公家のどなたかと何かが一緒だからといって、特になんでもないと思うのだが、
義母は、少しの共通点が嬉しかったのだろう。
そういう、わたしも息子や娘を妊娠中は、
この膨らんだお腹の中には王子様か、姫様でも入っているのではと思うほどであったから、
どっちもどっちの似た者、親ばかだといえるかもしれない。
ふたつ目は、来る3月31日をもって、めでたく定年を迎える。
仕事自体は、再雇用で働き続けるのだが、
大きな節目であるのは間違いなく、本人はカレンダーで華々しくカウントダウンを始めている。
再雇用で働くとはいっても、定年まで働いた実績は達成しているわけで、
もういつでも辞めていいのだという開放感は半端ではないようだ。
趣味も多いので、万が一退職した後の有り余る時間をもてあますなんて事はありえないと
豪語しているがはたして・・・
わたしは、身体の状態がよければ、生涯現役を目指している。
週一3時間だけでも仕事は続けていきたいと思っているが夫は違う。
早々に自由な時間が欲しいと言う。
毎年買い続けている永遠にあたらない宝くじが当たれば、
今すぐにでも仕事を辞めるといっているほどであるから、本心からそう思っているのだろう。
生活のめりはりをつけるのがわたしは下手くそだが、
多趣味の夫はまあまあ上手だからその差だろう。
気がつけば、もう2月だ。
明日は節分だ。
「鬼は外~、福は内~」
と言っている間に春だ。
今は枯れ木のようになっているさくらの木は、人知れずそっとつぼみを膨らませ始めている。
菜の花が咲き、桜舞う季節もすぐにやってくる。
春の空のもと、桃色の空気は気分よくおもいきり吸い込みたいものだ。
その頃には、世を騒がせているコロナウィルスも治まっているだろうか。
近隣のスーパー、ドアラックストア、ホームセンターを夫と二人で巡り巡って、
やっと買い求めたマスク2箱を手にしてこれから迎える未来を慮った。