「泣くな」
「やった~」
「元気だ」
読後、にんまりと唇がほころんだ。
でました、なんとか節。
ほんとにそう。
言われるまでもなく、どうにもならないことにくよくよとしてしまうのはわたしの悪い癖。
だけど、
それを「渇」と言い放たれて途端にしゃっきーんとなって、「むふふ・・・」とひとりでほくそ笑んだ。
場所は、駅のホームの寒いベンチの上。
しんしんとした冷たさが、プラスチックのベンチから身体に広がってきたけれど、
心はほっこりと暖かかだった。
むしろ快適。
今日は風が強い。
街路樹の落ち葉の舞いは、たぶん今日が最高潮だろう。
最近の、散歩時の決まりごとは、ビニル袋一杯に落ち葉を拾い集めることだ。
リードとビニル袋を左手に持って、右手で落ち葉を拾い集める。
この作業を始めると、わんこは、しばし通行人を眺めながら、
「好きなだけ拾ってくださいな」とくつろぎの体制に入る。。
落ち葉を拾い集めて何をするのか。
植物を育てていくうちに出てくる植物残渣にみかんやバナナの皮、パイナップルの皮も大事。
米ぬか(近所の精米機からただでゲット)と混ぜて、上等の菌資材を投入して自家製の発酵肥料を作っている。
自家製コンポストというものだ。
微生物達が作り出す発酵って面白い。
土壌中には善玉菌と悪玉菌がいて、そのバランス関係がすごく大事で、
善玉菌が優勢になると土の状態はよく植物も生育がよくなる。
逆に悪玉菌が優勢になると連作障害が起きたりして生育が悪い。
ところが、ここにもう一種類の「日和見菌」というのがいて、
これがかなり自己中な菌で善玉菌と悪玉菌の力関係を見て、
強いと思われるほうの味方に即効でつくという不届きモノというわけだ。
日和見菌というものの存在を知った時に、なんて自分勝手なやからだと思った。
世の中には善人ばかりではないのは、百も承知しているし、
かといって悪人だらけでないのも至極当たり前に知っている。
前置きが長すぎた感をお許しを。
要するに、自分を「日和見菌だ」と自覚した瞬間だったというわけだ。
悩んでいる人に対して、
元気付けたい。
励ましたい。
力になりたいと思っても、適切な言葉がかけられないし、
相手の環境次第で、自分も一緒にズボンと落ち込んでしまう。
どうにもならない事でもがいて泣いて。
ついには力尽きなんの生産性ももたらさないのが落ちというお決まりのコースだ。
流されやすいのは今に始まったのではない。
洗濯機を買い替え、冷蔵庫を新しくして、痛い腰をさすりさすりしながら視線は常に前へ。
あなたの強さが眩しすぎた。
「泣くな」って言われたけど、ほんとに嬉しい。
冬をすっ飛ばして春がきたようだ。
誰かの一挙手一投足に泣いたり笑ったり・・・
わたしはほんとに日和見菌だ。
逆に日和見菌で上等。
何が悪いと開きなおる正真正銘の日和見日和だった。